作品集ー13
素人の本焼き
その日はまさに月白く、風清い仲秋の夕暮れ時でした。
私は窯の火を入れる時刻を、窯出しの頃合いを逆算して、夕方の6時と決めておりました。
外気温 26度 窯庫内温度 23度
18時0分 本焼きのためのスイッチオン
90分後には窯庫内は270度に上昇
後はマイクロコンピューターにおまかせです。
丑三つ時までには1230度にまで達し、210分の焼成を続け、20分のねらしの後、徐々に温度を下げていくのです。
翌朝スイッチオンから12時間後の6時には、760度に下がっており、21時間後の午後3時には、225度位まで下がります。
24時間後の夕方6時には窯庫内は120度となり、やっと 「end」 の表示が提示され、ほっとする瞬間です。
感動の窯出し!!
窯出しの逸る鼓動や秋茜
窯出しの 「ピン!」 と産声爽やかに
窯出しの緋色目に染む秋夕焼け
窯変の一喜一憂や野分あと
たまさかの窯変の妙秋の虹
窯の蓋を開け、外気に触れた瞬間、焼成された陶器たちは、かすかに 「ピン! ピン!」 と産声を上げて私を喜ばせてくれるのです。
感動いたします!!
いとほしむ様に、分厚い手袋で生まれたばかりの我が子を慈しむように窯出しに取り掛かります。
母看取るランプシェードの秋思かな
秋深しランプの星座を身ほとりに
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