心と体

五木寛之さんの講演に臨んで

 嬉しいことに 友人から「しずおか信用金庫第27回文化講演会」の招待チケットをいただき 平成29年11月21日 静岡市葵区 静岡文化会館大ホールで、五木寛之さんの「心の風景」と題しての講演を拝聴してまいりました。
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13時30分開場、14時講演とあって いそいそと13時15分に会場に着いた時にはすでに2000人余りの長い列が出来 周辺には昂揚が漂っておりました。

 五木寛之さんは 前日の11月20日には金沢の講演を終えられ静岡へ直行されて今回の静岡講演となりました。
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 1900年時代の人生年齢と云えば イギリス46歳、アメリカ45歳、日本は43歳だったそうで、当時の日本では人生50年を願望としておりました。
今や人生90~100年 超高齢時代となりました。

人生100年をどう生きれば良いのでしょうか? 
若いうちに人生後半の50年の生き方を考えておきたいと前置きされて いよいよ1時間30分の講演に聴衆は一言一句聞き漏らすまいと耳を傾けます。

 昭和7年生まれの五木さんは、激動の戦後を生き抜いてきた今、一種の立ちすくみが感じられるとおっしゃいます。
私も同じ昭和7年生まれ 近頃生きることに少々退けありと 大いに共感を覚えました。

 人生後半を生き抜く力として、自立した経済力は勿論、たとえ時代は変わっても 心身ともに健康であることが必須で、精神の自立として 趣味を楽しむことは心身の「養生」であると話題を進めます。

 神戸のほうで内科医を開業されていた「播水(ばんすい)」の俳号をもつ医師五十嵐久雄さんの 「春愁や老医に患者のなき日あり」という句があり、いつかはそういう時が来るんだろうなぁ と思いながら 桜がちらほら散り始めている窓からの風景を眺め 淡々と穏やかに行く春を惜しんでいると解釈され 高齢の医師が しみじみと来し方 行く末に思いを馳せている。

 秋想では無く 「春を愁う」 寂しいけれども人生の最後の季節を憂鬱に捉えるのではなく 穏やかに自然に現実を認める心境こそ播水(ばんすい)さんは むしろ幸せな状態だったでしょうと 賛美されました。

 話題は転じて 柳田国男の著書「涕泣史談(ていきゅうしだん)」にあるように、日本人は本来 泣くことを大切にしてきた民族だったのに 近ごろの日本人は余り泣かなくなってしまった。
泣くことによって 人に思いを伝える、そして救われる。
悲しみや不幸を泣いて笑って 笑いの文化でもある川柳を作ることもよいでしょうと奨励されました。


  (中略)


人生の下山と共に 世の中からなんとなく取り残されてしまう孤独感を克服する、ゆっくり安全に下山する方法のひとつに 
滅入った時には 先ず自分の過去を回想して見る。
回想しているうちに 大事な部分が掴めてくる、それを咀嚼する、思い出をゆっくり回想することは高齢期の仕事であって、過去の宝の山に思いを巡らせて 心を豊かに
しましょう。 
と結ばれました。

約束の講演時間は寸分違わずぴったり1時間30分 
     
流石!です。

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百歳詩人柴田トヨさんの詩に励まされて

 一昨年の暮れに Tさんから、百歳詩人 柴田 トヨさんの詩が載せられた2012年のカレンダーをいただきました。
 その1編1編の詩は やさしい表現で素晴らしい感性に満ち溢れている感動溢れる12ヶ月でした。
月ごとに入れ替わる詩に 時には涙し、こころぬくもり パワーもいただきました。 以来トヨさんの詩にすっかり魅せられ、励まされ、ファンの一人となりました。

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  カレンダーに載せられた詩を 私なりに大きめのフォントでパソコンに書き移し手に取りやすい形に印刷して 一日何回か大きな声で朗読することが、私の日課となりました。
 朗読しているうちに、傘壽の私にパワーが甦ってくるのです。 
 皆さんにも 是非お薦めいたします。 
    元気が出ますよ~
先日も軽い脳梗塞で引きこもりの友人に 柴田 トヨさんのお話をして、ご自分に言い聞かせるように ゆったりと朗読をお薦めしたところ 「元気になれたよ」と大変喜ばれました。

一部をご案内いたしましょう。

「頁」 私の人生の頁をめくってみると、、、  あと一頁で百頁、 
                         、、、、鮮やかな色がまってるかしら

「自分に」 の詩には、今のご自分はヘルパーさんや看護師さんに助けられているけれど 言葉を紡いで誰かの心に、、、  さぁ顔をあげて空を、、、

「「百歳」の詩には 百年を振りかえって、、、 奉公、戦争、貧しい生活、いじめられ、辛く哀しい時も、、、でも、仰ぐ空、優しい花、、、 周りの親しい人はみんな逝ってしまったけれど、、次の世は笑顔で、、 百歳のゴールは胸を張って、 と明るく高らかに謳いあげています。

「がまぐち」の詩に至っては、感涙にむせぶばかりでした。
 当時小学生の息子さんが、白いを吐きながら、かじかんだ小さな手で 納豆売りをして 母ちゃんへお年玉だよって買ってくれたがまぐちは 今でも優しさがいっぱいはいっているトヨさんの宝物。 素晴らしい親子の情愛に涙・なみだの感動です。

 トヨさんの詩には、苦労した人生が優しい言葉で凝縮され、俳句を作るにも似て 余分な言葉は省略され、総ての詩の終結は必ず 顔を上げ 空を見て、微笑んでいらっしゃいます。
 今の世相にも厳しく さりげない批判に思わず「同感!」  読み終わるごとに癒され、心に勇気を与えられ、深く考えさせられるのです。

Cimg0037  詩集としては異例の大ヒット中の 既に百六十万部突破の42編の詩集「くじけないで」。 26編の詩とトヨさんの心からの「ありがとう」には 子供時代の思い出や 裕福に育ったはずの生家の倒産で10才のトヨさんが 「私がしっかりしなくては、、」と奉公先での辛かった経験、一世紀を生き抜いた間に遭遇した小説にもなるような事柄など 人生の最後に 夢にも思わなかった詩集を世に出して 花を咲かせた喜びを綴った詩集「百歳」 (株式会社 飛鳥新社)は
  私の座右の書となりました。

 一世紀を生き抜き詩作への熱意が絶える事も無く 柴田 トヨさんは今年1月20日老衰のために101歳で逝去されました。 
90歳で異例の詩人となって 出版した詩集は 数ヵ国語にも翻訳され 多くの人々の心を篤く感動させた トヨさんの半生 「くじけないで」が 深川栄洋監督で トヨさん役を八千草薫さん、一人息子さんの健一さん役を武田鉄矢さんで映画化され この4月から撮影が始まり、今年秋には公開されるそうです。 
  再び多く人々が励まされることでしょう。   

   

 

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