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一期一会

今回の話題は七年前の秋に遡ります。
2012年11月10日
静岡市葵区 安倍川上流山間の温泉地、梅ヶ島の紅葉狩りの日の事でございます。

 近年に無く美しい紅葉、その上天気も上々、風もなく絶好の紅葉日和に恵まれて一時間四十分路線バス利用の独り旅となりました。
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 紅葉の素晴らしさは筆舌に尽くし難く、デジカメ初心者の私は嘆息混じりに撮影を愉しみ、持参したおにぎりでのランチタイムは紅葉が映える渓谷を眼下に、いつものベンチに辿り着いたとき、見知らぬおばあさまから 「ご一緒させていただいてもいいですか?」 「さぁ どうぞ どうぞ」 旅は道連れ、老い二人して絶景を愛でながら素朴なおにぎりの美味しかったこと!

 その方は何と! 御年95歳、しかもおひとりでの紅葉見物だそうです。
目を細め、うなずきながら紅葉を愛でていらっしゃいます。
時折「梅ケ島の紅葉は、永年努めた幼稚園を81歳でリタイアしてから今年が最後かもしれないと云いながらも十数年毎年バスに揺られて来ているんですよ。来年もここでご一緒したいですねぇ」 と、満面の笑顔でおっしゃいました。
95歳でしかもお一人で、、、思わず目頭が熱くなり、私も斯く有りたいとパワーをいただいたのでした。
一期一会、その時撮らせていただいた貴重な一枚の何と!神々しいお顔だった事でしょう。

お住まいも、お名前も知らぬままお別れしたけれど、来年もお会いできるかも知れない。
このお写真を是が非でもお届けしたい。
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 以来毎年この一枚を携えての紅葉見物が何年か経ちましたが、お渡しするチャンスも無く七年が経ってしまいました。

 ところが! 
今年2019年3月某日の新聞訃報欄に眼一点集中したのでございます!
「行年102歳 元○○幼稚園園長」の記事に若しや? あの方かも知れない!  
 直感的にこの一枚をご遺族にお届けしたい、一途の気持ちが抑えきれず、
私のお節介の虫が騒ぎ出したのでございます。

手前勝手を内心詫ながら、某日小雨そぼ降る夕刻4時半、葬祭場へお取り込みを避け、通夜が始まる前を計らって馳せ参じたのでございます。
御遺族お控室前で故人の娘さんにお会いできました。

 「あぁ! 母は梅ヶ島の紅葉に毎年独りで行っていました。 え?その時の、、、」と、眼を潤ませながら感動されながらお受け取りくださいました。
無事にご親族様にお届けすることが叶い、納棺された優しいお顔のNさまに手を合わせ、ほっと胸を撫で下ろしたのでございます。

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コメント

ぽちさん、こんにちは~
7年前のブログのことはよく覚えております。
とてもいいお話に感動したことを覚えています。
更に今回素晴らしいお話に胸がわなわなしています。
葬祭場までいらっしゃってあの写真をご遺族様にお渡しになったのですね。
ご遺族さまはぽちさんの優しさにびっくりされたことでしょうね。
そして、元幼稚園の園長先生はぽちさんの優しさに包まれて天国に行かれたと思います。
素晴らしいお話をありがとうございました。

投稿: ひろ | 2019年3月17日 (日) 13時32分

ぽちさん
スゴ~イお話ですね!!

私も7年前のぽちさんのブログの事は、
よ~く覚えていますよ。まず、95歳の方がお一人で
バスに乗って紅葉見物に行くことに驚きました。
そしてぽちさんと仲良くお昼ご飯を食べ本当に、
人生を楽しんでいらっしゃる様子が分かるブログでしたよね。

また、今回は素晴らしいオチまでついて。。。
ぽちさんが、あのお写真を持って葬儀場に駆けつけた
ことに胸が震えます。
あのお写真、とってもステキ!
ステキなお話を伺って、心が澄んできました。
有難うございました。

投稿: みず | 2019年3月17日 (日) 16時38分

♪ ひろさん
 7年前のあの日の一期一会は私の脳裏からひとときも離れることはありませんでした。
95才でお一人でバスで紅葉狩りですから、多くを語られなくても、胸にじ~んと迫るものを感じました。
そんな思もあって、新聞の訃報欄の記事が眼に飛び込んできたのでしょうね。 「念ずれば通ず」でしょうか?

投稿: ひろさんへぽちより | 2019年3月18日 (月) 09時47分

♪ みずさん
 訃報欄に眼が集中したときの私の鼓動の高鳴りをご想像ください。  
もしや、もしや、、唐突な私の行動がご無礼ではないかしら?  しばらくは心の葛藤がありました。
たった小一時間の一期一会でしたが、余生のあり方を学ばせていただいたと、素晴らしい方に巡り会えた運命を感じたのです。

投稿: みずさんへぽちより | 2019年3月18日 (月) 09時59分

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