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掛川特産の葛布

 秋の七草の一つでもある葛(くず)は日本の各地に分布し、やせ地など放棄畑や道端に しつこいほど繁茂し 大群生をなしているのがよく見られます。
絡みつくようにびっしりと群生する葛のバイタリティには驚くばかりです。
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  盛夏には一日で一メートルも伸びて ともすれば 折角植林した若木に巻き付いてしまう 厄介な害草として嫌われる植物でもありますが、根っこからはデンプンが採れ葛粉となり 風邪を引いた時の葛湯とか京都の葛切りや料理など漢方薬にもなり食用にもなり、特に奈良県の吉野葛は有名です。


 葛は六月から九月にかけて その年に伸びた新しい蔓から採れる繊維の利用価値も高く、これからお話する「葛布」の原材料になることから 花は秋の七草のひとつに、根や蔓まで殆どが役に立つのです。
 害草と云われても「葛」は「屑」ではないのです。
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 私が「葛布」のことを最初に知ったのは、五十年ほど前 当時俳句を余生の楽しみとして、大野林火主宰「濱」同人だった伯父大石白夢の句集「」の装丁に 掛川特産の「葛布」が使われていた事に新鮮なカルチャーショックを覚えたことからでした。
以来 襖の張替えに、手織りの簾、色紙の掛け軸などを愛用してきました。
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 一昨年静岡市教育会館で開催された 俳句「藍四人展」で葛布に書かれた仲田藤車の句に目を奪われたことでした。
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 九月二十日の地方新聞に、静岡市駿河区の駿府匠宿で、掛川特産の葛布(くずふ)を使った伝統工芸品の「葛布展」が二十三・二十四日開催の記事を見て早速拝見してまいりました。
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 下の図 葛布老舗の川出幸吉商店さんのトレードマーク「葛布」(くずふ・かっぷ)は、掛川出身の江戸中期を代表する儒学者・書家でもある 細井広沢の書に依ります。

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 明治初期、初代川出幸吉さん考案の「襖地用葛布」の好評から 明治・大正・昭和・平成と葛布の老舗として のれんを守り続け、今回の展示会には五代目の川出英道さんが手掛けた座布団、草履、ハンドバック、財布など160点が並び、
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 特設された葛布織機での実演もつぶさに拝見することが出来ました。

おや! この写真は?
川出さん所蔵 蹴鞠の写真です。
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 蹴鞠袴や乗馬袴、裃や道中合羽など鎌倉時代から掛川の葛布が使われているのです。

 【葛布の蹴鞠奴袴】
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 肌感触のしなやかさ、履き心地の良さから葛布は古くから 蹴鞠の奴袴にも使われていた話や、織機に掛ける時は葛の繊維を水で湿らせてから織るとか、繋ぎ方の「葛結び」の説明など、五代目川出英道さんは 知識の浅い私の質問にも快く丁寧に説明してくださいました。
 
 お許しを戴いて動画収録をさせて頂きました。

 世界に誇る日本の伝統産業は 安価な外国産に圧されながらもその伝統を 後世に伝えて掛川の葛布は脈々と絶やすこと無く守られております。

葛布は無限の可能性を秘めているのです。

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コメント

ぽちさん
大した伝統芸術ですね。私は葛から布が出来ることを
今の今まで知りませんでした。本当に趣があって、日本人の
生活様式にピッタリな物なんですね。書も葛布に
書かれていると、一段と優雅です。
動画に収められた織物の技術は大変すばらしく、
時間のある時にもう一度ゆっくり、鑑賞したいです。

本の表紙に使われた葛の布は今も綺麗に保存されていて
感心しました。いい物を教えてく下さって有難うございました。

投稿: みず | 2017年10月 1日 (日) 14時35分

ぽちさん、こんにちは~
掛川の葛布のことは知っていましたが、私には手の届かない
ものと思っていました。
こういう素晴らしい伝統芸術をずっと守り続けてほしいと思います。
けれど、現代の建築等や生活様式の中に生きるのにはかなり
大変なことがあるのでしょうね。
伝統を引き継いでいく方々の努力は相当なものだと思います。
でも、葛にはバイタリティがあるのですから、大丈夫だと思います。

投稿: ひろ | 2017年10月 1日 (日) 15時31分

♪ みずさん
 伯父の俳句集「澪」の表紙に葛布が使われていた事に始まって葛布の素晴らしさは50年前に知りました。
又、葛布に直接墨で書かれた俳句には 新鮮な驚きでした。

今回蹴鞠の袴に鎌倉時代から掛川の葛布が使われていたとは!  由緒ある掛川の伝統工芸だったのですね。
川出5代目さんから貴重なお話をいただきました。

投稿: みずさんへぽちより | 2017年10月 1日 (日) 17時13分

♪ ひろさん
 日本の伝統工芸が海外の安い品に圧されたり、後継者不足で苦戦を強いられたり、古来からある素晴らしい伝統を守ることが大変な時代になりましたが、川出さんでは すでに6代目の後継者が励んでいらっしゃるそうです。

 それにしても、葛の生命力と 私達の食生活に大きな力の基であることにも驚きですね。

投稿: ひろさんへぽちより | 2017年10月 1日 (日) 17時26分

ぽちさん
葛の花がこんなに奇麗だったのかと昔を思い出していました
今回も葛布の歴史 葛布の豊かさそして俳句のながれ
御親戚の系等
ぽちさんの構成が素敵でとても読みやすく
そして奥が深い 楽しく拝見しました。

投稿: naci | 2017年10月 2日 (月) 18時12分

♪ nacl さん
 バスの旅で 行けども行けども葛がびっしり生い茂り、秋には地味ながら花もちらほら楽しめます。
拙作ですが、掛川の伝統工芸をご紹介するチャンスを得てよかったと思います。
以前 北の丸で葛布のお座布団に座った時の感触の良さを しみじみと思い出されます。

投稿: nacl さんへぽちより | 2017年10月 5日 (木) 09時49分

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