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ういろう

 ひと月ほど前 妹との旅先で 食欲不振に依る体調不安を覚えた私は、妹の携帯している妙薬のお蔭でスッキリ改善の効能に驚かされました。   

 巷の薬局でも通販でも手に入らない 1495年に小田原を平定した北条早雲の時代から520年あまりの一子相伝を守り続ける「ういろう」の店に 遠方から今なお求める客が列をなすほどの妙薬だそうです。

 今回の旅友の一人も以前からこの恩恵に欲しているという事で 折角の熱海紅葉の旅がてら小田原まで足を伸ばすことになりました。
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 妙薬とは「ういらう」(透頂香 とうちんこう 天皇から賜った名前)と云う仁丹に似た丸薬ですが、「ういろう」と言えば私は名古屋名物の蒸し菓子「ういろう」しか存じませんでした。

 小田原の「ういろう」は、日本全国ただ一つ「外朗(ういろう)」の姓を名乗る六百数十年続いている家で、二代目が明に渡り 薬の処方を持ち帰ったのが「ういろう」と名付けられた薬だそうです。
また、二代目は朝廷で外国使節を歓待するためのお菓子を考案されたのも お菓子の「ういろう」なのだそうで、どちらも「外朗家」のものと云うことで「ういらう」と呼ばれたと云われます。
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お菓子の「ういろう」は、京都の菓子職人によって全国に広まったそうです。

あれッ? 街なかにお城?
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 小田原城の近くに、お城と見紛うばかりの立派な八ッ棟造りの建物が人目を引きます。 
 知る人ぞ知る「ういろう」の店舗です。

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 建物の中に入ると正面にお菓子の「ういろう」が、左手に薬の「ういろう」が売られているのです。
薬売り場の方には客の列が絶え間なく、中には外国語を話す人や青い目の外人さんも見られ なるほど! 国外にまで知れ渡った高名な妙薬と再認識せざるをえません。

おや? 
どうして「ういろう」の店頭に蟷螂頭が展示されているのかしら?

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 店内には、遠州飯田山名神社奉納の舞楽カマキリの被り物の「蟷螂頭」や 十返舎一九の「東海道中膝栗毛」の弥次さん喜多さんも立ち寄った云われる文献などが見られます。

蟷螂頭と外郎家との因果関係は、
 2016年京都の祇園祭の蟷螂山の巡行列の総代を務めたのが外郎家25代目で、蟷螂山を作ったのは外郎家のご先祖様
でした。

 さて お立ち会い!
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 六百数十年もの歴史を称える 妙薬「ういらう」の効能を説き起こした切っ掛けは、亨保年間、歌舞伎役者・二代目市川團十郎は持病のゼンソクで咳と痰のため台詞が言えず、舞台に立てず困っていた処、この薬によって全快したお礼にと、團十朗十八番の「外郎売」台詞が誕生しました。
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  さて さて お立ち会い!
拙者親方と申すは、お立ち会いの中にご存知のお方もござりましょうが、、、一粒舌の上に載せまして、腹内へ納めますると、イヤどうも言えぬは、胃心肺肝が健やかに成って、、、其の外万病即効あること神のごとし、、、このういらうのご評判、ご存知無いとは申されまい、、、東方世界の薬の元締め、、、」 と、立て板に水の如く 5分間にも亘る効能を一気に語る團十郎の歌舞伎十八番の長~い名セリフは圧巻です。
こんなにややこしい台詞は おおどかな言い回ししか出来ない私には 一言も太刀打ちできません。

 薬売り場裏手の、明治18年築のお蔵を利用し、平成17年に開設された博物館に案内して戴きました。(撮影禁止)
蔵の1階・2階には昔の看板・調度品・薬種を摺り下ろす薬研・丸薬製造木製機・歌舞伎十八番の資料などが昔を今に拝見できました。

 「信ずる者は救われる」 
西洋新薬にも勝るとも劣らない穏やかな効能妙薬もあるのですね。

 

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コメント

ぽちさん、おはようございます~
いいお話をありがとうございます。
「ういろう」はお菓子のことしか知りませんでした。
万病に効く妙薬なんですね。
子供の頃、風邪をひいたとかお腹が痛いと言うと母がいつも
飲ませてくれたのは「六神丸」でした。
小さな小さな黒い玉だったと覚えています。
薬の「ういろう」もずっと前から万病に効く薬として使われていたのですね。
西洋医学の薬は体に合わないことも多いですよね。
昔から使われている薬を常備することはいいことだと思います。
特に旅行するには必携ですね。
小田原のそのお店でないと買えないとはちょっと残念ですね。
ぽちさん、そのお薬があればこれからも楽しい旅ができること請け合いですね。
私も購入してみたいです。

投稿: ひろ | 2016年12月25日 (日) 10時07分

ぽちさん
とっても良い薬を見つけられましたね。
西洋医学の場合、いろんな検査をして、異常なしと
言われれば、自分は何となく不調なんだけれど、それ以上の
医者の明確な答えはなくて、すごすごと医院を後にする
ことって多いですよね。何となく不調、胃が何となく
すっきりしない、息が苦しいような気がする。。。
検査しても異常なし。現代医学って、これ以上は
踏み込めないことが多いような気がします。

私も「ひろ」と一緒で子供の時には母が良く六神丸を
飲ませてくれました。

この「ういろう」は妙薬ですね。そのお店まで行かなければ
買えないってところが、貴重品なんですね。

ぽちさん、このお薬を手に入れたのですから、安心です。
何処へ行くにも携帯すれば心丈夫ですね。

私も欲しい!!

投稿: みず | 2016年12月25日 (日) 17時11分

♪ ひろさん
 そうそう、子供の頃は風邪、腹痛と言えば「六神丸」でしたね。 「ういろう」も漢方ですから、苦味があります。
「ういろう」は天然の動植物が原料で、最近は環境破壊や公害で良質の原料が手に入りにくくなったそうです。
自然災害など多発する昨今です。
無駄な暮らしは慎みたいと思います。

投稿: ひろさんへぽちより | 2016年12月26日 (月) 10時25分

♪ みずさん
 「胃腸を改善すれば健康で長生きできる、、、」と、とある広告にありました。
2~3粒口に含んだだけで、胃がすっきりしたなんて本当に驚きました。
 先日 風邪を引きかけた友人も5粒でスッキリしたと喜んでいました。
「ういろう」の製造方法は企業秘密ですが、600年も前から純正な生薬で当時から変わらない製造を守っているそうです。
対面販売ですから、今時の商法としては凄いですね!
環境破壊や公害についても、真剣に取り組まないといけませんね

投稿: みずさんへぽちより | 2016年12月26日 (月) 10時43分

ぽちさん 
 ういろう のお話し楽しく読ませて戴きました
 妙薬とか またまたはじめて知りました  

 歌舞伎十八番   さてさてお立会い のぽちさんの
 文章の妙 いつもながら 素敵です

投稿: nacl | 2016年12月27日 (火) 12時13分

♪ naclさん
 西洋医学の新薬もめまぐるしい発展ですが、昔は何処の家でも富山の「置き薬」がありました。
私は今でも胃腸薬に木曽御嶽山の「百草丸」を常備しています。
「ういろう」は携帯しやすいので携帯していると安心です。


投稿: naclさんへぽちより | 2016年12月27日 (火) 19時55分

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