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2016年12月

ういろう

 ひと月ほど前 妹との旅先で 食欲不振に依る体調不安を覚えた私は、妹の携帯している妙薬のお蔭でスッキリ改善の効能に驚かされました。   

 巷の薬局でも通販でも手に入らない 1495年に小田原を平定した北条早雲の時代から520年あまりの一子相伝を守り続ける「ういろう」の店に 遠方から今なお求める客が列をなすほどの妙薬だそうです。

 今回の旅友の一人も以前からこの恩恵に欲しているという事で 折角の熱海紅葉の旅がてら小田原まで足を伸ばすことになりました。
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 妙薬とは「ういらう」(透頂香 とうちんこう 天皇から賜った名前)と云う仁丹に似た丸薬ですが、「ういろう」と言えば私は名古屋名物の蒸し菓子「ういろう」しか存じませんでした。

 小田原の「ういろう」は、日本全国ただ一つ「外朗(ういろう)」の姓を名乗る六百数十年続いている家で、二代目が明に渡り 薬の処方を持ち帰ったのが「ういろう」と名付けられた薬だそうです。
また、二代目は朝廷で外国使節を歓待するためのお菓子を考案されたのも お菓子の「ういろう」なのだそうで、どちらも「外朗家」のものと云うことで「ういらう」と呼ばれたと云われます。
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お菓子の「ういろう」は、京都の菓子職人によって全国に広まったそうです。

あれッ? 街なかにお城?
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 小田原城の近くに、お城と見紛うばかりの立派な八ッ棟造りの建物が人目を引きます。 
 知る人ぞ知る「ういろう」の店舗です。

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 建物の中に入ると正面にお菓子の「ういろう」が、左手に薬の「ういろう」が売られているのです。
薬売り場の方には客の列が絶え間なく、中には外国語を話す人や青い目の外人さんも見られ なるほど! 国外にまで知れ渡った高名な妙薬と再認識せざるをえません。

おや? 
どうして「ういろう」の店頭に蟷螂頭が展示されているのかしら?

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 店内には、遠州飯田山名神社奉納の舞楽カマキリの被り物の「蟷螂頭」や 十返舎一九の「東海道中膝栗毛」の弥次さん喜多さんも立ち寄った云われる文献などが見られます。

蟷螂頭と外郎家との因果関係は、
 2016年京都の祇園祭の蟷螂山の巡行列の総代を務めたのが外郎家25代目で、蟷螂山を作ったのは外郎家のご先祖様
でした。

 さて お立ち会い!
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 六百数十年もの歴史を称える 妙薬「ういらう」の効能を説き起こした切っ掛けは、亨保年間、歌舞伎役者・二代目市川團十郎は持病のゼンソクで咳と痰のため台詞が言えず、舞台に立てず困っていた処、この薬によって全快したお礼にと、團十朗十八番の「外郎売」台詞が誕生しました。
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  さて さて お立ち会い!
拙者親方と申すは、お立ち会いの中にご存知のお方もござりましょうが、、、一粒舌の上に載せまして、腹内へ納めますると、イヤどうも言えぬは、胃心肺肝が健やかに成って、、、其の外万病即効あること神のごとし、、、このういらうのご評判、ご存知無いとは申されまい、、、東方世界の薬の元締め、、、」 と、立て板に水の如く 5分間にも亘る効能を一気に語る團十郎の歌舞伎十八番の長~い名セリフは圧巻です。
こんなにややこしい台詞は おおどかな言い回ししか出来ない私には 一言も太刀打ちできません。

 薬売り場裏手の、明治18年築のお蔵を利用し、平成17年に開設された博物館に案内して戴きました。(撮影禁止)
蔵の1階・2階には昔の看板・調度品・薬種を摺り下ろす薬研・丸薬製造木製機・歌舞伎十八番の資料などが昔を今に拝見できました。

 「信ずる者は救われる」 
西洋新薬にも勝るとも劣らない穏やかな効能妙薬もあるのですね。

 

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熱海梅園名残りの紅葉

 旅友との今年の忘年会は熱海温泉と洒落込みました。
と言うのは、静岡県の紅葉スポットは数々ありますが、ゆったり温泉と美味な食事に加え 名残りの紅葉観賞と 来年の事はわからない八十路には気楽な旅という事で満場一致の即決でした。

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天気予報 連日雨マークも見事に覆し、旅を寿ぐかのように車窓からも富士山がくっきりと見られ旅心も弾みます。
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 猫の目のように変わる気温の変化に戸惑いながらも この日は小春日の暖かさ、コートを脱いでの園内散策に恵まれたことは幸運でした。
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熱海梅園は、熱海市街地の西側にある約1万4千坪の都市公園です。
横浜の豪商 茂木惣兵衛氏が明治19年(1886年)に開き、128年間の皇室財産御料地を経て 昭和22年(1947年)に国有財産となり、昭和35年10月に大蔵省より無償で熱海市に払い下げられ、園内の整備もされて昭和41年4月1日に「熱海梅園}として開設されました。

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 園内には日本一早咲きの梅の木が58種、473本、日本一遅い紅葉が楽しめるイロハモミジ、ムサシ、イチジョウ等 園内を流れる初川の渓流に架かる情緒ある橋や、熱海市唯一滝の景観に私たちはこころ和むのです。

 おや? 梅園入り口の竹のオブジェはなんでしょう?
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12月4日(日)までの園内イルミネーション・ライトアップに来園者を感嘆させた竹のオブジェです。

 熱海梅園内をひと巡りしなら撮影した名残りの紅葉をお楽しみください。

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セレベス(里芋)

 今年も巡って来ました里芋の季節。
名月の「衣かつぎ」も良いけれど中でも私のお気に入りは、「セレベス」です。

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 「セレベス」はインドネシアのセレベス島から伝えられた里芋のことです。
芽が赤く京料理に使われる「エビイモ」にほぼ同じ形です

 9月中旬頃から収穫され、食べごろは11月~12月。
ねっとりホクホクして私の好物です。

 里芋はしっとりねっとり風味もあり、日本人ならではのお芋ですが 品定めは中々大変で、食べてみての食感がゴジゴジしたり、ベチャベチャしたり当たり外れが多く、その点セレベスはハズレも比較的少なく ねっとりホクホクした食感が楽しめます。

 里芋は、イモ類の中でも低カロリーで食物繊維が豊富、ビタミンB6,高血圧予防・改善のカリウム、骨を丈夫にするマグネシウム、貧血を防ぐ鉄分、味覚発達を促す亜鉛、などミネラルを豊富に含む健康食品と云われます。

 おまけに、ぬめりのムチンは胃の粘膜保護に、肝臓・腎臓の働きを助け細胞を活性化して老化予防つまり認知症予防に効果が有る等々素晴らしい健康食品であることをネットで知りました。
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 今まで我が家ではお雑煮や お煮しめにしたり 味噌汁の具としておりましたが、素晴らしい食材と知って タンパク質と脂質を補う鶏の手羽で含め煮にしてみました。
材料はセレベス・人参・鳥手羽先手羽元・椎茸・オクラ
 調味料は酒,砂糖、みりん、三倍濃縮麺つゆなど 計量はお好みで。

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冷めた煮汁も鶏手羽部位のコラーゲンたっぷりのゼラチン質が煮凝り状になり、美容にも良く美味で ご飯が進みますす。 
レンコンや牛蒡を加えればもっとバランスの良い食物繊維や風味も豊かな一品になるでしょう。

 

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しずおか連詩の会

 1999年から毎年開催されている「しずおか連詩の会」創作発表(県文化財団、県主催、静岡新聞社・静岡放送共催)を拝聴してまいりました。
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一昨年は三島市、昨年は浜松市での開催を経て、第17回目の今年の創作発表3年ぶりの静岡市は 11月20日(日)グランシップ11階会議ホール・風で開催されました。

 昨年までは静岡新聞に掲載された作品を拝見しておりましたが、今年は 私には難しい詩の世界!と懸念しながら思い切っての拝聴です。

 感性・個性豊かな言葉の達人4人が集い 3日間かけて5行と3行の短い詩をリレーのように連ねながら共同創作していく現代詩です。
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 私は詩を読むことも、自分で詩を作る能力もないにも関わらず、今回は3人の詩人に 創作連詩には珍しいと言われる俳人が加わるという関心もあって、私にはとてつもない敷居の高い創作連詩を拝聴する機会を得ました。
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 4人が同じ空間・同じ時間の中で共有する場所で、研ぎ澄まされたビビットな描写表現を突く大胆な発想の転換で、五七五七七、五七五の詩を互いに作り送って 全32編の「風の千層」を生き生きと そして静かな余韻を持って完結され 場を共有して詩を作る一種の格闘技の様な緊張感と 発想過程の楽しさなどのトークを混じえながらの創作発表でした。 

 地元静岡県浜松市出身の俳人高柳克弘氏は、誇らしい気持ちで静岡の風光を自慢し、連詩に挟む諧謔と言うか可笑しみある独特の俳句を取り入れた新鮮さは私にとって興味深いものがありました
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 桜井洋子アナウンサー(NHKの元エグゼクティブアナウンサー 嘱託職)の司会でいよいよ創作発表が始まります。

「日は海中より現れて、、、 可視にゆらめく風の千層、、、」と創作の始まりを務めた暁方ミセイさんが晴れ晴れとした心境を俳人高柳克弘氏に絆ぎ 宇宙の広がりを高貝弘也氏が謳い紡ぎ、交錯する詩人の胸中を野村喜和夫氏が謳い上げて2巡目へバトンタッチ。
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 創作中 折しも68年ぶりのウルトラスーパームーン現象や、創作3日目 雨上がりの小春日に大きな二重の虹もかかり、華やかな自然現象描写のリレー、静岡の誇り富士山、駿河湾に一層の華を添えるなど 広大な宇宙空間を編み 最後尾を結ぶ高貝弘也氏が
「光る軒先で雀らが転げている 天気雨が降ってきた あなたはもうすぐ帰ってくる」と明るい未来につないで 2016年のしずおか連詩32編「風の千層」の巻が完結したのです。

 会場ホールには、100人ほどの来場者が言葉の絵巻を味わいました。

 三島市出身の詩人大岡信氏を中心に始まった 「しずおか連詩の会」。
今年は暁方ミセイ、高柳克弘、高貝弘也、野村喜和夫の先生方に依って創作された、静岡県が世界に誇る文芸です。

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