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鎮魂の花火

夏の風物詩 静岡の夜空に大輪の花火が彩る 第62回安倍川花火大会が7月25日に開催されました。

下最初の画像は「安倍川花火大会本部」ホームページhttp://www.city.shizuoka.jp/000_007547.html  からお借りしました。
 流石! プロの写真は完璧で実に素晴らしいですね。 

F2209

玉音放送による終戦直前の1945年(昭和20年)6月19日夜半 静岡市を焼き尽くした米空軍機B29による大空襲の惨事が生々しく思い出されます。
 70年前 私13歳中学1年生の時でした。

6人きょうだいの私たちは 米空軍機焼夷弾投下に依る火の手が迫る我が家を守る父母に先だって、祖母に連れられ 路上に横たわる丸焦げに焼けただれた 何百人とも知れない死体を尻目に 安倍川橋を渡り、手越しのとある寺院の竹藪に逃げ込みました。

パラパラと花火のように投下される焼夷弾 脚元に落ちる火の塊を血眼になって踏み消しながら 必死の避難に恐れおののき 20日の朝を迎えました。


 安倍川橋西の土手からは すっかり焼け野原と化した 静岡市街地を ただ呆然と立ち尽くすのみでした。

めらめらと燃え盛る街中至る所に真っ黒な焼死体 安倍川河川敷にも焼け焦げた死体が累々と 日本軍に追撃されたB29搭乗の空軍兵士の死体も転がっておりました。
 焼け出された私たち家族や 多くの避難者の悲嘆にくれた姿が 今でも脳裏にはっきりと焼き付いております。 

 明け方 私たちは、安倍川橋の上で 探し求めていた全身煤まみれの父母と劇的に再会し 互いの無事を喜び合うことができました。

 終戦を迎えて3年目 この安倍川河川敷で地元の青年団有志に依る戦没者慰霊の手花火が揚がりました。

この事が切っ掛けで
 昭和28年復興と戦没者慰霊鎮魂をこめて、「安倍川花火大会」が開催されたのです。 以来年々歳々今年の開催は第62回目となりました。

 あの忌まわしい惨状の場所での 平和な日本の花火見物模様です。

A

私は幾十年間 人混みを避けて 屋内で聞こえる遠花火に想いを寄せるか 隣家実家の屋上からの打ち上げ花火を楽しんでおりましたが、今年は 戦火を分け入って無事だった父母と再会した安倍川橋中ほどを目指しました。

A_4

 普段は途切れなく車の行き交う安倍川橋も この時ばかりは花火見物の人で立錐の余地もない有様です。

 今年は徳川家康公顕影400年と云う意義深い年でもあり 安倍川橋を中心に60余万人が1万5千発の花火に酔いしれました。

     鎮魂の川面に煌めく大花火

     慰霊者の御霊鎮めて大花火

橋の上も、河川敷も人々々。 河川敷には明々と露店が建ち並び、埋め尽くす群衆に 老婆はたじろぐばかりです。

A_2

夕暮れ時から早々の混雑ぶりは 八十路の私には必死の覚悟の花火観賞となりました。 

 恐れをなして 9時の打ち止め花火を見ることも諦めて 10分足らずで辿り着く筈の我が家への いつもの散歩コースも 今宵は人混みを掻き分け 掻き分け 押し戻されながら 這う這うの体での帰宅、部屋に籠り 最後の打ち止め花火を しみじみと聞き入ったのでございます。

    鎮魂の胸に沁み入る遠花火

     戦争体験者の切なる想いです。

 せめてもの拙ない動画ですが 安倍川橋鉄骨アーチの間からの打ち上げ花火をご覧ください。

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コメント

ぽちさん
安倍川の花火大会に、このような歴史がある事を今まで
知りませんでした。戦没者への鎮魂から始まったとは。。。

安倍川花火大会は姉の所へ呼ばれて何回か
行ったことがあります。スゴイ!の一言ですね~
良く、あれほどの数を揚げるものだと、いつも感心して
おりました。でも、季節が真夏ですから、やはり
外での鑑賞はかなりの体力を必要としますね~
でも、今年はぽちさん、出かけられてアッパレ!!

花火鑑賞も、もちろんもいいですが、家の中で音を聞きながら
ビール、これは堪えられません(^-^)

投稿: みず | 2015年8月 2日 (日) 13時49分

ぽちさん、こんばんは~
安倍川花火大会は戦没者の鎮魂のための花火なんですね。
そんなことは忘れてしまって、「花火大会は嫌いだ」と思っていたことが恥ずかしいです。
戦争中はぽちさんも恐ろしい思いをしたのですね。
火花が落ちる中を潜り抜けてきた方々は生きる力をしっかり
持っていますね。

花火の写真は撮るのは大変ですね。
ぽちさんの動画はきれいに撮れていますね。
じっくり見させていただきました。

投稿: ひろ | 2015年8月 2日 (日) 18時55分

♪ みずさん
 安倍川の花火大会が、戦没者の慰霊が
原点だったと云う事は、おそらく昭和1桁生まれ
しか知らないでしょう。

 今年は静岡空襲も終戦(敗戦)も70周年ですから
忌まわしい、何の得も無い破壊することだけの
戦争は絶対してはならない! 
 
 そんな思いを込めた花火観賞でした。

 この拙作ブログは 思い込みが激しかったようですね。

投稿: みずさん | 2015年8月 3日 (月) 09時34分

♪ ひろさん
 子供心に我が家だけは焼けない!
と思っていましたから、大変なショックでした。

 何もかも失い、食糧難に喘ぎながらも
私たち6人きょうだいを 一人前に育ててくれた
両親には 今でも感謝でいっぱいです。
これは 日本中誰でもそう思っていると思います。

艱難辛苦は、人間を強くしてくれるのですね。

 そんな訳で 今年の花火は格別でした。

投稿: ひろさん | 2015年8月 3日 (月) 09時45分

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