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一期一会 パヴァロッティの思い出

 その1

 世紀の大テノール パヴァロッティのことを 誰もが知っているわけではありません。

故郷イタリアにおいてもです。

1987年 PBCで放映のTV 「パヴァロッティ・リターンズ・トゥ・ナポリ」 の屋外場面を撮影する時、現場の準備ができるまでパヴァロッティは車の中で待機しておりました。 すでに噂が広まっていたらしく、車の周りには人だかりができておりました。

近くで10才にも満たない男の子が、飲み物の屋台の店番をしながら人混みを眺めておりました。 そのうち屋台から離れ、車の近くまでやってきてパヴァロッティに窓を開けて欲しいと仕草で云いました。 窓を開けると少年は「みんなが見ている貴方は一体だれなんですか?」 と聞いたのです。 「ルチアーノ・パヴァロッティだよ」  少年は「その名前は知っているべきですか?」 とでも言いたげに肩を揺すりました。 パヴァロッティは「テノールでオペラ歌手なんだ!」 

少年は「オペラの事は知らないよ!」   「三日後にこの町でコンサートをやるんだ。 私の招待客として観に来るかい?」  「うゥ~ん。 朝の八時から夜の九時まであの飲み物屋台で番をしなきゃならないんだ! 母さんの云いつけなんだ!」   パヴァロッティはますますこの少年が気に入って、母親を説得するから電話番号を教えて欲しいと、、、 しかし彼の家には電話が無く、近所の家の電話番号を教えてくれました。

 母親にその旨を話すと、礼儀正しく 「ご厚意は感謝しますが、彼がコンサートに行くことはできません。 他にこの屋台の番をする者がいないのです」

 パヴァロッティは説得につとめましたが、彼女の気持ちは変わりませんでした。

Photo_2 

その2

 パバロッティがメキシコ・シティで、黒塗りの立派なベンツを借りて、貧しい人たちが住む地域を走っていた時のこと、幼い少年がパンを売りに来ました。 物売りにしてはまだ幼すぎる5~6才の男の子の姿に心を打たれたと同時に、こんな幼い子に物売りをさせる! と云う怒りもこみあげてきました。

運転手に車を止めさせ、メキシコの通貨を少し受け取ると少年が車に近づいてきました。 パヴァロッティは窓を開けおカネを渡しパンを受け取りました。  少年はパヴァロッティを見ると驚いた顔をして、ゆっくりとつぶやきました。

     「パヴァロッティ!」

 「スタジアムを埋め尽くした観客席から大声で名前を呼ばれるのは気持ちがいいが、この貧しい衣服も顔も汚れた まだこんなに幼い少年が私を知っていてくれた事は何物にも代えがたい喜びでいっぱいだった!」

 この二つの一期一会の記事は、まるで映画のシーンのようで、思わず涙が頬を伝わります。 自叙伝「パヴァロッティ・マイ・ワールド」で大変な感銘を覚えた一編です。

     幼気な児に名を呼ばれ風薫る

     (いたいけなこになをよばれかぜかおる)

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コメント

2話とも、とってもいいお話ですね。
こういう出来事に遭遇したことを、心に深くとどめ、記すところにパヴァロッティさんの温かい人間性を感じます。
もちろん、こんな温かい秘話をこうしてブログで広めてくださるぽちさんにも・・・。happy01

投稿: ゆーこりん | 2009年5月11日 (月) 11時08分

♪ ゆーこりんさま
 ブログを書きながら、また読み返しながら
この二人の少年との出会いは、映画のシーンを見ているようで 涙ぐんでしまいます。 o(;△;)o
 
 パヴァロッティを知れば知るほど温もりを
感じます。 すっかりパヴァロッティにはまってっているdogです。

投稿: ゆーこりんさまへ ぽちより | 2009年5月11日 (月) 18時28分

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