« 母を読む 自選自解 (三) | トップページ | 母を読む 自選自解 (五) 完 »

母を読む 自選自解 (四)

○ 母は介護施設へ

 「この家にずーっと居たい!」  とあれほど云っていた母を、腰を痛めた私独りの介護ではどうにもならず、已む無く介護施設のお世話になることになりました。

 平成十七年四月一日のことです。

 「腰痛を早く治してお迎えにくるからね。」 と約束して、満開の桜咲く小高い丘の上の介護施設へお願いしたのでした。

 寂しそうな車椅子の母を振り返り振り返り、こころで詫びながら、ほろほろ散る桜の坂道を下ったのでした。

      花の坂母を預けて振り返り

      母を預けほろほろ泣きて散る桜

      母如何に夕永き刻もて余し

      母は施設へ独りの永き日を余す

      青嵐茶山に母を捨つるがに

      家恋しと母の口癖花しょうぶ

      老ひ母に逢ふて切なき花みかん

      花みかん匂ふ施設の母に詫び

      母を預けし罪を悔い居る若葉冷え

      梅漬けて日ごとに小さき母訪はな

      サクランボ狩り母を忘れる小半時

      垣間見る小さくなりぬ母の夏

      「帰りたい!」 と母より暑中ハガキ着く

      秋めくや家恋ふ母の小さき声

      母お在す施設は遥か野路の秋

      稲穂垂れ介護施設のありがたき

      秋の暮母も手を振り分かれけり

      チゝチゝと母恋ふ我にちゝろ虫

|

« 母を読む 自選自解 (三) | トップページ | 母を読む 自選自解 (五) 完 »

俳句」カテゴリの記事

コメント

ぽちさん
きょうの歌を拝見して泣けました。
今、私の母も入院中です。
退院できる希望をもって頑張っています。
親子の情というものを改めて感じさせていただく名歌ばかりでした。ありがとうございました。

投稿: ゆーこりん | 2008年5月 7日 (水) 21時27分

♪ ゆーこりんさま
 ほとんど毎週お会いいているのに、お母様が入院されているとは存じ上げませんでした。
一日でも早いご快癒をお祈りしております。

 病む人にとって、お身内の励ましと、温かい接し方が何よりの薬でしょう。

 この母の句は、すでに95歳を過ぎた母との状況、心情を詠んだものです。
 あなたのお母様は、私よりお若いですもの、ご快復も速いと思います。

投稿: ぽちより ゆーこりんさま | 2008年5月 8日 (木) 08時54分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/213648/41095850

この記事へのトラックバック一覧です: 母を読む 自選自解 (四):

« 母を読む 自選自解 (三) | トップページ | 母を読む 自選自解 (五) 完 »