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羽抜鳥ってどんな鳥?

  羽抜鳥・・・(はぬけどり) とはどんな鳥?

 友人が属している俳句会の6月の季題に 「羽抜鳥」 が出されました。   とっさに私は、今どき難しい季題を出された友人はさぞ困惑しているのでは?・・・  私だったらどうしましょう! と思ったのです。

 「羽抜鳥」 ってどんな鳥? 現代っ子はきっとこう質問するでしょう。     おぼろげながらも判っているのは昭和の一桁生まれまでの方ではないでしょうか。  しかも農業とか養鶏業を営んでいらっしゃる処で無い限り、街なかでは見かける事もないのですから、、、、、。

 終戦直後、私がまだ中学生の頃、食糧難に喘いでいた我が家でも、街なかにもかかわらず数羽の鶏を飼っておりました。 大根の葉を刻み、糠と牡蠣の殻の粉末を混ぜての餌係りが私たち姉弟の役目でした。 ある日、鳥肌もあらわにすっかり羽が抜け落ち、鶏冠の色も褪せ。餌も食べずに小屋の隅にキョトンとしているニワトリを見て、死んでしまうのではないかと大変心配したのでした。  母から 「鳥屋ごもり」(とやごもり) と、聞かされました。

 一般に鳥類の羽毛の抜け替わる時期は、春から夏に及ぶようです。 最も身近に鶏がいて、姿も大きいので目に付きます。 今までのふっくらとした羽毛を落として、しわしわの朱い地肌の頸部を露出させ、すっかりやせ細った我が身を疑うように見る己が姿に、おじけて立ち止まって考え込む仕草は、人間から見れば、おかしみの中に、一抹の哀れさを誘います。 後に俳句を学ぶようになって、 夏の季語 「羽抜鳥」・「鳥屋ごもり(とやごもり)」 と知りました。

 それにしても、いまどき「羽抜鳥」を詠めって云われても 「さて、どうしたものか?」 見てきたような五・七・五を読んだとしても、いかにもわざとらしい。   

   例句を挙げてみましょう。

    羽抜鳥身を細うしてかけりけり    高浜虚子

    はばたける朱き腋見ゆ羽抜鳥    山口誓子

    一塊の肉羽ばたきて羽抜鳥     福田蓼汀                

ほとんどの例句は、その目で見た実際の羽抜鳥を詠んだ句が多いのです。  インターネットで最近の例句を調べてみましたが、やはり 「羽抜鳥」の句は極わめて稀でした。「肝心のことを忘れて羽抜鳥」 「子を叱る我が心持ち羽抜鳥」 のように、羽抜鳥を比喩した俳句がやっと見受けられました。

 しかし 羽抜鳥よ! 決してひるむなかれ! 羽が抜け替わった暁には、前よりも姿が立派になる「鳥屋勝り(とやまさり)」となるのですから、、、。

 私は、いま、引き篭もりの「羽抜鳥さん」にエールを贈ります。

   耐えてこそ明日は陽の射す羽抜鳥

   羽抜鳥朝の来ぬ日の夜は無し       ぽち女

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